停電でエアコンが使えないとき、熱中症のリスクをどう減らすか
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熱中症搬送は、今年過去最多を更新した
総務省消防庁がまとめた令和7年(2025年)5月から9月の熱中症による救急搬送人員は、確定値で100,510人だった。平成20年に統計を取り始めて以来、最も多い数字になる。年代別では65歳以上の高齢者が57,433人で全体の57.1%を占め、症状の程度別では入院を要する中等症以上が34,399人(中等症)と2,217人(重症)を合わせて36.4%にのぼる。死亡は117人。発生場所は「住居」が38.1%で最も多く、屋外よりも室内での発症が目立つ。(出典: 総務省消防庁「熱中症による救急搬送状況」令和7年確定値)
亡くなる人の8割以上は高齢者、そして住まいの中で
厚生労働省の人口動態統計(確定数)によれば、令和6年(2024年)の熱中症による死亡者数は全国で2,160人。うち65歳以上が1,835人で、全体の85.0%を占める。この傾向はここ数年ほぼ変わらない。(出典: 厚生労働省「人口動態統計(確定数)」令和6年)救急搬送の「住居が最多」というデータと合わせて見ると、熱中症は炎天下の屋外だけでなく、自宅の中、それも高齢の一人暮らしや高齢者のみの世帯で起きているケースが多いことがうかがえる。
大規模停電が起きたとき、消防庁は何を呼びかけたか
2023年8月、台風6号の影響で鹿児島県・沖縄県の一部が大規模停電に見舞われた際、消防庁は同年8月3日付で両県に事務連絡「大規模停電下における熱中症の予防対策について」を発出している。全国一律の制度や恒常的な呼びかけではなく、実際に大規模停電が起きた地域に向けた個別の対応だった、という点は正確に押さえておきたい。この事務連絡には、厚生労働省・経済産業省・環境省が作成した「エアコンが使えないときの熱中症対策」、内閣府・消防庁・厚生労働省・環境省による「災害時の熱中症予防」、消防庁独自版の3種類のリーフレットが添付されていた。停電と熱中症を関連づけて注意喚起した実例として、記録に残っている。
エアコンが使えないとき、公式に呼びかけられている対策
このリーフレット(日本救急医学会監修)では、エアコンが使えない状況での具体的な対策として次のような行動が挙げられている。
濡れタオルをあてたり、うちわや扇風機で風を送ったりして体を冷やす
水浴びやシャワーで体温を下げる
保冷剤や、凍らせたペットボトルを常備しておく
冷房が使える場所(自治体の指定避難所や商業施設など)に早めに避難する
車内は高温になりやすいため、待機場所として使わない
いずれも特別な機材を前提としない、今すぐ実践できる対策として紹介されている。
ポータブル電源にできること、できないこと
停電時にポータブル電源で扇風機や冷風扇のような小型家電を動かすことは、消費電力次第では現実的な選択肢になりうる。おおよその稼働時間は稼働時間計算機で目安を確認できる。一方で、エアコンの消費電力は一般的に数百Wから1kW超と大きく、家庭用ポータブル電源1台で長時間まかなうのは容量的に難しいことが多い。ポータブル電源は「エアコンの代替」というより、扇風機や冷風扇、スマートフォンの充電など、体温を下げるための小さな備えを止めないための手段として捉えるのが現実的だろう。
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